BOOKレビュー

3000年以上にわたるコナモン史において、ゴマンとある文献、書籍から、単純に個人的に気になったものだけ取りあげて、ご紹介する「コナモンBOOKレビュー」。

2010年04月

22● いま改めて、調査心得を

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工藤保則・寺岡伸悟・宮垣元

『質的調査の方法』

2010.2.5

法律文化社

新入社員研修を各社している時期だが、新聞記者やテレビ関係者の取材や情報の集め方の研修はどのくらいなされているのか、いつも疑問に思う。

・某メディア局の番組で、インターネットによる女性限定アンケートを取ったというコーナーがあるのだが、ネットアンケートで、女性限定といっても、意味がないことをわかっていない。母数も明らかにしていない、などあまりにも初歩的な勘違いがまかりとおっている。

・某雑誌から焼きそばの歴史をきかれて、「断定できないが、少なくとも明治維新後、西洋料理がはいってから以降のことです」と答えたコメントに対し、「坂本龍馬も食べた焼きそば?」という見出しをつけて返されたこと。明治維新=坂本龍馬という安直なキーワードが担当記者に刷り込まれている現実。

こんなことが山ほどあり、取材者としてのいろは、基礎教養以前の、マナー、礼儀、話し方にいたるまで、社会人として許せない事例が多い。

取材する者は、対象となる人、事象から、「材(ネタ)を取る」以上、それを正しく、誠実に伝えるという最低限の義務があることを肝に命じてほしい。

この優秀なテキストは、社会学を修める大学生向けではあるが、ジャーナリスト新人研修にも必読の書として、注目されていいと思う。

21● 「10歳児の社会化」は、粉もんがカギ?

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工藤保則

『中高生の社会化とネットワーク』

2010.2.28

ミネルヴァ書房

著者は私の落語の導師でもあり、関西の社会学者のホープ。

一見、コナモンとは無関係な学術書である。

が、子供たちが社会化するという10歳前後は、友達といろんなことを作り出す年頃であり、

家での誕生会ひとつとっても、ただプレゼント交換して、ゲームしてケーキを食べて・・では満足しなくなっている時期だ。

この世代に、たとえばタコパー、オコパーは有効なお楽しみといえるだろう。ぜひおススメしたい。

私も、どんな趣向よりも友達の家で、自分でおにぎりを作るおにぎりパーティがいまだに印象に残っている。

この本には、あえて「引きこもり」という言葉は登場しない。

でも近年増加の一途である自殺の問題以上に深刻な社会現象と考えられる。

社会の病理である「引きこもり」も、当事者が10歳前後の社会化が行われていたかどうか、で検討することができるだろう。

「ゲームで遊ぶ」から「ゲームを遊ぶ」。

その過渡期をクリアできない子供たちへの警鐘として、私は読ませていただいた。

20● 幸せのこぶた倶楽部

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並木悠

『こぶたのハミング』

2010.3.8

西日本出版社

私のマーケティングの師匠である作者から辞書のような原稿を渡されて、

素敵な一冊にまとめることができました。

的場カヨさんの挿絵のイメージから、ある喫茶店のマスターを語り部に仕立てましたが、

このカフェも、あそこかな・・とわかる人にはわかってしまいますね。

10年くらいまえから、こぶたグッズを集める「幸せのこぶた倶楽部」が結成されて、

その流れで生まれた本です。

熊谷真菜初プロデュース。でも奥付には「生瀬真菜」で登場しています。

上から読んでも下から読んでも「なませまな」。

生瀬さんに「君は僕と結婚しなくてよかった、だって・・」を笑われてから

どっかで使ったろ・・と思っていた名前。やっと叶えることができました。

19● マレーシアの底力

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ザビナル=アビデイン=ビン=アビドゥル=ワーヒド

『マレーシアの歴史』

1983.8.30

マラッカはじめ、アジア通のトニーさんにお借りした一冊。

Tony's Net http://tonyjsp.com

マレー、華僑、インディアン、ヨーロピアン・・・人種の坩堝であるマレーシアの歴史には、

ジョホール帝国から、マラッカ海峡の商権をめぐるオランダ、イギリスの統治など、

深いものがあるようで、著者のお名前からして、歴史の重みを感じさせます。

2007年に世界遺産登録をうけたマラッカには、当時のおもかげも色濃く残っていて

ストリートを歩いているだけでもワクワクします。

もちろん、屋台系、インディアン系、中華系のコナモンは目を見張るおいしさです!

18● ムードof ムンバイ、タブッキの名作

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アントニオ・タブッキ

『インド夜想曲』

1993.10.20

白水社

南インド通の角ちゃんがすすめてくれた本が、今回のインドリサーチに役立ちました。

ムンバイの喧騒が聞こえてきそうで、スリリング、ミステリアスな設定。

この小説が書かれてから、それほど時間は流れていないのに、みるみる変化するインディア。

旅人には、この雰囲気、じわっと残してほしいものです。

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